くれあ
今、NHKBSプレミアムで、『クレシダ』という舞台映像を観ました。
亡くなられた平幹二郎さんの最後の舞台です。

ウェブサイトから引用させて頂くと、
『晩年演技指導者になった、かつての名優シャンクと、うら若き少年俳優たちの、生きる姿と人間模様を麗しく、時にユーモラスに、時に重厚に描く。』
というあらすじです。

素敵な舞台でした。

このステージを観ていて、私が強く想い出したこと。
それは今から約30年前宝塚時代に、劇団とは関係なく、プライベートレッスンとして教わっていた演技の先生のことでした。
先生との稽古が、昨日のことのように思いだされます。

先生から「違う!違う!!!」と言われ続けて、一歩も動けなくなったこと、呼吸すらできなくなったこと。毎回、先生の家に向かう足の重かったこと、玄関の前で、深呼吸をしてからでないとドアを開けられなかったこと。稽古後に出してくれたお善哉。稽古で怒っていても、終われば必ず笑顔を向けてくださったこと。

「いいはいい。ダメはダメ。」

それしかない。人に説得力を持って伝えることに、中途半端はないということを、誠心誠意教えてくださいました。それはそれはすごいエネルギーで。

「それだよ!くれあ!」

と言われたときの嬉しかったこと。

あるとき、先生はご病気になられた。
私は何度か病院へお見舞いに伺った。
でも、私が行くときは、常に面会謝絶で、お会いできぬまま、先生は天国へ行ってしまった。
それも私の東京公演の最中に・・・
お通夜にもお葬式にも伺えなかった。

演劇バカの私を可愛がってくださっていた。
宝塚をやめた後の道も考えて、あることを約束してくださっていた。
「お前はここでどうこうなろうと思うな」と。
ま、向いてなかったということですね・・・ははは。
その約束を叶えてくださることなく、天国へ。

最後まで、ご病気になられた先生に会えなかった私に対し、同期は、
「くれあには、弱まった姿を見せたくなかったんだよ」
って、慰めてくれた。

そう、だから私は強くて優しい先生しか想い出せない。
幸せです。

「クレシダ」を観て、そんな幸せな気持ちになったのでした。

先生、先生に教えて頂いたことを大切に、コツコツ頑張っています。
少しでも先生に喜んでもらえるように。

いや〜舞台っていいですね〜!へへへ!
そこかーーーい!