THEATRE MOMENTS Vol.9 桜ノ森ノ満開ノ下

坂口安吾の「桜の森の満開の下」について

佐川 大輔

構成・演出

佐川 大輔

(THEATRE MOMENTS)

 この小説、タイトルは聞いたことがあるけど、実際に読んだことがないという人は意外に多いようです。
 しばしば「あー、桜の樹の下には死体が埋まっているって話でしょ?」と言われます。いえいえ、それは梶井基次郎の「桜の樹の下には」という短編小説です。ちなみにこの梶井基次郎の誕生日は、安吾の命日と同じ2月17日です。
 また時には、「それって、野田秀樹がやった芝居だ!」と言われますが、いえいえ、それは「贋作 桜の森の満開の下」という野田さんの有名な戯曲です。確かに原作は一緒ですが、「贋作」と命名されているように、安吾のほかの作品もミックスされた野田オリジナルな作品です。
 「じゃあ、今回のモーメンツ版『桜ノ森ノ満開ノ下』ってどんな話?」と思われるでしょう。
 それは劇場でのお楽しみということに・・・。なぜなら、私は作品世界を文章で説明するのは余り好きではありません。それに原作を知らない人にも充分楽しめる作品になっているはずですから。
 最後に、私の大好きな安吾の言葉を。「『感じる』こと、感じられる世界の実在すること、感じられる世界が私たちにとってこれほども強い現実であること」
 季節はずれの桜を感じに、是非劇場へ。


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