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2016年11月

くれあ
はい!
「楢山節考」がおわった!

と思ったら、翌日月曜日から次の公演の稽古が始まりました!

「雪のひとひら」です!

もちろん、マカオでです!
他のメンバーは帰りましたが、大&くれあのマカオ生活はあと5週間続きます!

今度は、マカオの俳優さんたち+くれあで「雪のひとひら」をクリスマス公演として、マカオで上演します!

稽古2日目にして、すでに笑いが絶えない稽古場!どこに行ってもモーメンツ流!

浅草で上演したひとひらを観たイレーンと、「幸福な王子inマカオ」の時に、通訳をしてくれていたバーニスも出演!もちろん、「幸福な王子」「パニック」と出演してきたフィリップも!
フィリップの劇団の10周年記念公演として、上演します!

他の5人のキャストとは初めまして!
そして、2人のスタッフが稽古場についてくれています。

ありかたや〜!

やっとこさ、ネット環境が改善されたので、これからはくれあ日記を更新していきます!

新しい仲間のことも紹介していきます!

みんな優しくて、今日は稽古後、雨が降ってたら出演者キャンディの彼氏が車で家まで送ってくれた〜!楽チンでした!

よければ、今年のクリスマスは、マカオでモーメンツ!なんていかがですか?へへへ!
だい マカオ版「楢山節考」を無事に終演した。(とびきり長いよーー。)

公演最終日、朝からマレーシアの演出家EUGENEと会合を。
前日1時半まで飲んでいたのだが、朝しか彼と話す時間が取れないのだ。
彼らのホテルと僕のアパートは離れているので、睡眠もそこそこに向かう。
せっかくの国際交流企画、無理してでもコネクションを取っていく。
EUGENEも快諾してくれた。

向かうとマカオのプロデューサーDICKIEもいた。
昨日僕がEUGENEにアポイントを取っていたのを聞いて、彼も参加したいと来たようだ。マカオとマレーシアと日本、三者での交流会になる。
それぞれの社会情勢、演劇事情などを話す。

交流でのトークメモ。
今回の国際交流企画は、マカオ政府の援助はもらっているが、不足分も多く、それはDICKIEが負担していると。彼はそれでも「こういう企画は必要だから、やるべきだ。来年もやるつもりだから、ぜひ参加してほしい。」と。僕もEUGENEも、彼の理念に賛成する。最大限の協力を申し出る。

マカオもマレーシアも「小劇場」の観客層は少ない。日本と同様で、「イージーで、笑える芝居」を観客は求めているとのこと。「演劇」はアナログ文化で、映画やゲームのような安価でコンビニエントなものと比較されると厳しい状況というのは世界共通だ。

マレーシアは「多民族国家」だ。生活している人種は、マレー人、中国人、インド人、アラブ人、などなど。だから言語も、文化形態も多種多様。その中でも、移民系は法律整備などの面で、差別的扱いをされることも多いらしい。

例えば、イスラム教の人は「一日に5回お祈り」をする。おそらく会社などでは、彼らのような人は、仕事をする際のリズムが違うので、採用するのも難しい点もあるだろう。教育の面でもそうだ。EUGENEは独立系の学校で教育をうけたので、リベラルな価値観を持っているが、中国系の学校だとそうは行かないらしい。つまり、多様な文化生活の人が同じ社会で生活するということは、かなりの軋轢を生むのである。まさに現代世界の縮図だ。

そんな中、マレーシアは急速な発展を遂げている。まさに急激な変化の渦中。政府もころころ変わり、毎年のように法制度が変化しているようだ。「文化に助成しよう。」という方針が決まったと思ったら、次の年には政府が変わり、「文化にかけるお金はない。」と。だから、その中で生活するのは本当に大変らしい。

マレーシアの劇団は、「文化背景ごとに違う」ようだ。つまり、「中国系」の劇団、「マレー系」の劇団、「インド系」の劇団など。そして、劇団によって「使う言語も違う。」だから、マレーシアでは芝居に「字幕が入るのは普通なこと」なんだそうだ。好意的にとらえれば、多種多様な文化が形成される素地はあるかもしれない。

また、マレーシアの人々は、様々な言語を駆使して交流するのが、日常のようだ。「マレー語」、「英語」、「中国語」、「広東語」、「ヒンドュー」、「アラブ」などなど。色々な言語の人がいるから当たり前なのだろう。考えてみると、マレーシアチームは日本チームと仲良くなれたのは、彼らの「異文化との交流スキルが高かったから」と確信する。彼らが何かを伝えようとするとき、一つの言い方で伝わらなければ、違う言い方、方法で伝えようとしてくれた。
今後、特に日本人には特に、このようなスキルが必要になってくるだろう。

マカオも、マレーシアも「演劇人」は食えないらしい。彼らは副業を持ちつつ、やっている。マレーシアチームは、今回も「政府からの助成金は一切ない」そうだ。マカオチームプロデューサーのDICKIEも、郵便局で働いている。マレーシアのEUGENEは教師をしているそうだ。

マレーシアでは、日本で言う「文化庁」は、「観光庁」の管轄内だそうだ。つまり「観光に属するものが文化」という考えなので、演劇も伝統的なものや、観光的なもの以外は保護がないとのこと。

こんな感じで2時間以上、話す。
マレーシアのEUGENEとは「僕は演出者協会の国際部所属している。機会があれば、マレーシアの演出家と交流を持ちたい。」との申し出をし、快諾してもらう。

この三者交流会が良かったからか、主催のDICKIEから「全劇団で意見交換会をしよう。」との提案が。急だけど、昼と夜の公演の合間に行うことになる。

昼は、軽く仕事をし、夕方の意見交換会のために劇場へ。
意見交換会は、各スタッフ合わせ、総勢30名を超した。
それぞれの国の演劇事情などもシェアされたが、やはり日本チームへの質問が多い。
我々以外は「ストレートな現代劇」だったため、うちのようなクラシックストーリを現代的に描くトータルシアターは異質だったのか。それとも、中国文化圏ではない我らへの興味もあったのだろう。
「稽古はどのようにしているのか?」
「どのくらい時間がかかったのか?」
「何故、あの表現なのか?」
などの質問が飛び交う。

それにしても、広東語のスピードは速い。(日本以外は広東語が喋れるメンバーがほとんど)
どうやら、同じ情報量でも日本語の3割増しの速度でやり取りがされているようだ。
だから通訳のバニースは、苦労しながら要約していくが、当然、日本側は置いて行かれる。
ニコニコしながら聞いているしかない。

交流会は1時間ほどで終了。
香港の演出家に「あなたたちの作品は我々の作品と違って、言語の壁を超える。ワールドツアーができるのでは?」と言われ、「そう思って、いつも作品を作っています。」と答える。

さて、夜公演だ。
どうやら今日も満席で、補助席も出る。
初日に見に来てくれた演劇関係者が「是非行け!」と声がけしてくれ、口コミで増えているらしい。

準備を整え、開演。
前説からどっかんどっかん笑いが起こる。
観客が「楽しもう」という姿勢が強いので、こちらとしては本当にやりやすい。
笑いは客席の空気を和らげ、一体化させる。
なので、本編に入っても演技がやりやすくなる。

そして、ラストシーンへ。
ラストシーンは、演出上の関係で、最前列の補助席が、3席ほど、字幕が見えずらい。
懸念していた通り、その席の人々が、首を頻繁に左右に動かし、字幕を見ようとする。
一瞬、「他のお客様の目障りかな?」と思ったが、首を動かす彼らの目には涙が。
感動して、必死に字幕を見たがっていたのだろう。

終演後、本日もアフタートーク。
やはり日本チームへの質問が多い。
日本は通訳を介すため、どうしても時間をとるので、伝えたい内容を要約する。
その中に、楢山節考の原作を読んでいるという観客がいた。
「原作にない部分は、どういう理由で補足したのか?」、「ラストの紙芝居演出の写真のチョイスは?」など、かなり突っ込んで聞いてくる。
僕なりに応えていく。

トーク終了後、出口で少しお話をした。僕の作品をとても気に入ってくれたようだ。
後で聞くと、彼はマカオで有名な作家であり、批評家のよう。
フェイスブックに彼の批評が掲載されたらしい。
後で読んでみよう。

また、マカオの演劇学校の先生も来ていた。
彼は、僕がマカオで演出した作品を、3本全てを見ているらしい。
「映像でもできそうな演劇作品が多い昨今、演劇でしかできない表現を追求しているあなたのやり方は素晴らしい!」と絶賛してくれた。

すべてが終了し、バラシをしていると、マカオ側の製作スタッフであり、女優のスズキさんが声をかけてきた。(彼女は祖父が日本人?らしい。)
「来年、マレーシアでやるフィジカルシアターのイベントに参加しないか?是非、近いうちに話をしよう。」とのこと。
今回の目的であった「マカオ以外へのコネクションづくり」が実現しそうだ。

今回のマカオ公演は、助成金申請におちてしまい、参加が危ぶまれた。
しかし、マカオ側が何とか頑張ってくれ、最低限の渡航費と宿泊費と食費補助を出してもらうことになった。
そして、そんな条件でも同行してくれたスタッフのゆうちゃん、宇野ちゃん、そして何より俳優陣には本当に感謝である。全員が献身的に公演のため、そして、マカオの観客のため、頑張ってくれた。また、生活の面でも、それぞれでフォローしながら、10日間を過ごした。
さらに、そんな彼らを母のような優しさでまとめてくれたくれあの奉仕の精神には頭が下がるばかりである。まさに「楢山節考」劇中のおりんのようであった。
本当にありがたいことである。
「うちは人間力で成り立っている劇団だ」とつくづく思った。

ここで改めて感謝します。
みんな、本当に、本当にありがとう。
これを機にMOMENTSは、更に世界へ飛躍していくべく頑張ろうとの思いを新たにしました。
長くなったので、今日はここまで。
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