だい
「楢山節考」マカオ公演の2回目が終えた。

備忘録として(かなり長いよー。)

さて、初日が終えて翌日は、香港とマカオの劇団の公演日のため、僕らは基本オフ日。
午前中はゆっくり過ごし、午後にマッサージ屋さんへ。
なれない環境でみえない蓄積があったのか、初日終わり、どっと疲れが。
たまった疲れをほぐす。

その後、軽くカジノを見学。
みんな小遣い程度で遊ぶ。
テーブルの上で動いているお金の大きさに驚く。

マカオは今、マカオGPの真っ最中。
町を爆音が埋める。
立ち見できないように、レースになる公道は、フェンスで見えないようになっているが、見えるところもたまに。
と、急なブレーキ音と「ガシャン」とぶつかる音。
クラッシュした車だ。

爆音、ガソリンのにおい。大破する車。
非日常感が町を支配する。
「祭り」である。


夜はマカオと香港の劇団の芝居を見る。
二つとも、1幕ものストレートプレイ。
(今回は実験演劇のフェスではないので、そういうのが当たり前。MOMENTSは特殊)
俳優のレベルは総じて高い。
広東語のセリフはリズムが良く、音楽的だ。
人間のやり取りが非常に明確に感じる。
言葉がわからないからこそ、より俳優の演技に注目する。

終わってから、4劇団の主宰と一緒にアフタートーク。
観客から「なぜこの芝居をやろうと思ったのか?」など。
「日本の芝居が一番良かった。アンサンブルワークといい、テーマといい、とても感動した。」的なことを言われて、嬉しかった。

トークショーが終わったら、なんだかテレビっぽい取材を受けた。
インターネットテレビかもしれないが、取材なんて受けたことほとんどないから、ドキドキ。
「芸術の意義は?」「マカオの演劇事情にアドバイスすることは?」「あなたにとって演劇とは?」など、難質問に何とか答える。

公演の二日目。
午前中は部屋で雑務。
部屋にネット環境がなく、買ったSIMカードでスマホ経由でしか、ネット接続ができない。
スマホとSIMの相性が悪いのか、ネットが不安定で、かなり困っている。

午後はマレーシアの劇団の芝居を見に、劇場へ。
マレーシアチームのスタイルは一幕もののストレートプレイではなかった。
3人の登場人物の「モノローグ」が並行で進んでいくもの。
3人には特に関係性はないが、それぞれの人生を通して、この星に住む孤独とか、希望とかを想像させる芝居。
マレーシアは英語字幕があったので、少し内容を理解できたと思う。
観客の想像力を信じているのであろう。多くを説明しないが、三人の生活を平行に描くことで、そこからにじみ出てくるものがあった。人間の営みへのやさしい視線が感じられ、細部まで拘る演出が好みであった。演出家のユージンに終演後、「グッドショウ!」と感想を伝える。そして、今度ゆっくり話そうと約束する。

夜の公演の準備に入る。
ウォーミングアップし、プリセットを。
音響のボリュームを再度確認、照明もチェック。4劇団での公演なので、何があるかわからないので、細心の注意を払う。
おそらくマカオ側のスタッフには、「日本人は細かいなー。」と思われているかもしれないが、仕方ない。
スタッフのゆうちゃん、うのちゃんは音響照明なのに、バミリチェックやら、気が付いた作業をすぐにしてくれる。俳優たちも劇場の床を雑巾がけする。

開演。
今日は補助席も出すほどの大盛況。
前説から客の受けは良い。笑いが頻繁に起こる。ここら辺はマカオならではだ。
海外のお客さんは日本のお客さんに比べ、概して反応が大きい。
おかげで、こちらは楽に芝居ができる。
少しはミスもあったが、観客はいい集中力でみている。
終演後、カーテンコールはないのに、温かい拍手。
よく見ると、今日初めて僕らの芝居を見た香港チームが号泣している。
僕らの後は、15分休憩を挟み、マカオチームの公演なので、バックヤードで待機。
マカオチーム終了後、合同カーテンコールへ。やはり素敵な拍手をいただく。

その後、連夜のアフタートークへ。
観客から意見や質問が出るが、日本チームに話が集中。
「稽古期間は?」「他にはどのような小道具でやっているのか?」「どの場面が最も力を入れたところか?」などなど。
4劇団の合同アフタートークなので、あんまりうちに話が集中するのは申し訳ない気もしたが、「観客からのリアクションが出る芝居を!」というのが目標なので、嬉しい限りだ。
観客のなかで、特に熱く質問してくる人がいた。
後から話を聞くと、香港のExploration theatreの演出家KARLEYさんだった。
彼はディッキーの演劇の先生だとのこと。
終わってからも「とても素晴らしい演劇だった。ぜひまた会おう。」とのこと。

そして、終演後、全チーム揃っての宴へ。
23時から開始。飲むは、騒ぐわ。
マカオ初日と違い、片言英語でも、各自がガンガン交流する。
酒の力も借り、ボディランゲージ交えつつ、何とか会話。
特にマレーシアチームとは、ホテルで一緒になったこともあり、仲良くなっている。
まさに国際交流である。微笑ましく見つめた。
「こうして仲間ができたら、戦争なんて起きないはずなのに。」

1時半に終了。そして、帰宅。
マカオは不夜城。バスはこの時間でも動いている。
治安的にも不安を感じたことはない。
無事帰宅し、就寝。
この上なく、幸せな日であった。